2021.07.11

産業廃棄物って何?一般廃棄物との違いも解説

産業廃棄物とは?

 

産業廃棄物って何?

 

企業が製品や食品を作る過程では、たくさんのゴミが出ています。

 

SDG’sという、国連で採択された「持続可能な開発目標」の中では、「廃棄物の発生防止、削減、リサイクルおよび再利用(リユース)により、廃棄物の発生を大幅に削減する。」という目標が掲げられており、2030年までに目標達成することが世界中で定められています。

廃棄物の中には、「一般廃棄物(家庭ごみ)」と「産業廃棄物」の2種類があります。

今回は意外と知らない産業廃棄物とは何だろう?」「産業廃棄物と一般廃棄物の違いって何?」という疑問について、産業廃棄物の専門家がわかりやすく解説します。

 

廃棄物の定義

 

産業廃棄物の定義

 

廃棄物」とは、わかりやすく言い換えると「汚物」または「不要物」という意味です。

 

昭和52年3月26日に公布された「廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部改正について」という国の通知によれば、廃棄物とは「占有者が自ら利用し、又は他人に有償で売却することができないために不要になったもの」を指すと定義されています。つまり、自分自身でも使わないし、他人にとっても価値がないから売ることもできないので、不要なものということになります。

 

逆に「価値のあるもの」、「通常の社会生活で売買の対象になるもの」を「有価物」と言います。自分自身で使う、もしくは他人にとって価値があるから売ることができるものということです。

 

廃棄物

いわゆる「ごみ」。自分で使えない・他人にも価値がないため不要なもの。

有価物

自分自身で使う、もしくは他人にとって価値があるから売ることができる、価値のあるもの。

 

廃棄物の種類

 

廃棄物は、大きく分けて「一般廃棄物(家庭ごみ)」と「産業廃棄物」に分類されます。

事業活動によって生じた20種類の廃棄物を「産業廃棄物」とし、それに該当しないものが「一般廃棄物」です。

 

※「事業活動」って?

事業活動というのは、一般的に思い起こされるような建設業や製造業といった業種に限定されるわけではなく、
会社のオフィスや、学校、個人商店など、ありとあらゆる業種の事業が該当します。
たとえ小規模でも、営利を目的とした経済活動はすべて事業活動です。
産業廃棄物は、全てがこういった事業活動に伴って生まれるものです。

 

産業廃棄物の具体的な品目

 

産業廃棄物の品目

 

法令で定められた以下20種類の廃棄物が「産業廃棄物」です。

 

燃え殻焼却残灰、石炭火力発電所などから発生する石炭がらなど
汚泥工場廃水処理や物の製造工程などから排出される泥状のもの
廃油かつ順油、洗浄用油などの不要になったもの
廃酸酸性の廃液
廃アルカリアルカリ性の廃液
廃プラスチック類合成樹脂くず、合成繊維くず、合成ゴムくずなどの合成高分子系化合物
紙くず製紙造業、製本業などの特定業種、および工作物の新築、改築(増築を含む)または除去に伴って排出されるもの
木くず木材製造業などの特定業種、および工作物の新築、改築(増築を含む)または除去に伴って排出されるもの
繊維くず繊維工場、および工作物の新築、改築(増築を含む)または除去に伴って排出されるもの
動物性残さ食品製造業などの特定の業種から排出されるもの
ゴムくず天然ゴムくず
金属くず鉄、銅等の金属くず
ガラス及び陶磁器くずガラスくず、耐火れんがくず、陶磁器くずなど
鉱さい製鉄所の炉の残さいなど
がれき類工作物の除去に伴って生じたコンクリートの破片など
動物のふん尿畜産農業から排出されるもの
動物の死体畜産農業から排出されるもの
ばいじん類工場の排ガスを処理して得られるばいじん
上記の18種類の産業廃棄物を処分するために処理したものコンクリート固形化物など
その他前述した廃棄物、航行廃棄物、携帯廃棄物を除く輸入された廃棄物

 

業種指定の廃棄物とは?

 

 

たとえば、動植物性残さ(食料品などの廃棄物)は、食品工場から出ると「産業廃棄物」になりますが、
スーパーの総菜部門から出ると「一般廃棄物」になります。

 

専門業者(この場合は食品工場)が、本業として食品を製造をした結果として発生した廃棄物(食料品)は、事業活動の結果として生まれた廃棄物なので「産業廃棄物」です。

一方で、スーパー(本業は小売業)が片手間でつくったお惣菜の製造工程で発生した食料品の廃棄物は、本業の事業活動から生まれた廃棄物ではないので「一般廃棄物」となります。

このように、そのような過程で廃棄物が発生するかどうかも、廃棄物の分類に影響を及ぼします。

これは、業種指定の廃棄物と言われています。