2021.10.11

産業廃棄物(産廃)マニフェストの書き方・ポイント・注意点を専門家がわかりやすく解説

マニフェストの書き方・ポイント・注意点をわかりやすく解説します

 

マニフェスト

 

産業廃棄物(産廃)マニフェストは、産業廃棄物の処理を管理する管理票です。

今回は、産業廃棄物マニフェストの書き方のポイントや、注意する点について、産業廃棄物のプロがわかりやすく解説します。

 

 

産業廃棄物マニフェストの書き間違いは意外に多い

 

 

マニフェストの書き間違いや記載漏れは、意外にも多く発生しています。

なぜなら、記載項目が多数あり、項目名や記載すべき内容などがわかりにくくなっているためです。

マニフェストの書き間違いをしてしまうと、書き直しなどの手間が発生してしまうことはもちろん、虚偽の記載と見なされると、排出業者が罰則の対象になり得ます。

「書き間違える排出業者は多い」という認識をまず持って、正確かつ漏れのない記入を心がけてください。

 

 

産業廃棄物のマニフェストとは?

 

 

産業廃棄物のマニフェストは、産業廃棄物の排出業者が発行する、管理票のことをいいます。

産業廃棄物のルールは、厚生省(現在の環境省)が廃棄物処理法として定めています。

排出業者は、必要事項をマニフェストに記載した上で、専門の処理業者へ渡します。

その後、マニフェストは、産業廃棄物とともに、各工程ごとにそれぞれの処理業者へと渡っていきます。排出業者は、一定期間にわたりマニフェストを保管し、産業廃棄物排出の記録を残しておかなければなりません。

 

 

 

産業廃棄物のマニフェストの種類

 

産業廃棄物のマニフェストには、「事業系マニフェスト」「建設系廃棄物マニフェスト」「積替保管用廃棄物マニフェスト」の3種類があります。

 

事業系マニフェスト

 

産業廃棄物が、運搬業者を通じて運搬・処理される場合に用いられるマニフェストです。

 

建設系廃棄物マニフェスト

 

建築・解体などを行う際、建設現場で発生した産業廃棄物を運搬・処理する場合に用いられます。

 

積替保管用廃棄物マニフェスト

 

排出された産業廃棄物が、別の運搬業者によって積み替えられて運搬される際に用いられます。

 

注意

事業系マニフェスト、建設系廃棄物マニフェストの使い分けは、契約によって異なります。契約書を確認し、どちらを使うのかを確認してから発行するようにしてください。

 

 

マニフェストの基本的な書き方

 

種類ごとにマニフェストの書き方をわかりやすく解説していきます。

 

事業系マニフェスト|書き方

 

事業系マニフェストは全部で7枚綴りとなっています。

それぞれ「A」「B1」「B2」「C1」「C2」「D」「E」の7枚です。

Aは排出事業者が保持し、B1・B2は運搬業者が保持し、C1・C2・D・Eは中間処理業者が保持します。運搬・処理のたびに、それぞれ控えが発生するようになっています。

 

それぞれ、定められた項目を漏れなく記入します。以下の見本を参考にしてください。

 

出典:公益社団法人全国産業資源循環連合会

 

①「交付年月日」マニフェストを交付した日付
②「交付担当者」マニフェストの交付の担当者
③「排出事業者」排出事業者の氏名又は名称、住所、電話番号
④「排出事業場」排出場の名称、所在地、電話番号
⑤「産業廃棄物」排出する産業廃棄物の種類にチェック
⑥「数量」排出する産業廃棄物の数量(単位は自由 ex.kg、㎥、車など)
⑦「荷姿」バラ積み、フレコンバッグ入りなどの荷姿
⑧「産業廃棄物の名称」廃棄物の概要 (廃タイヤ、業務用冷蔵庫など)
⑨「有害物質等」有害物質が含まれている場合に記入
⑩「処分方法」「破砕」「切断」「圧縮」など、当該産業廃棄物の処分方法
⑪「中間処理産業廃棄物」中間処理業者が残さ物を処理委託する際に記入
⑫「最終処分の場所」最終処分する予定の場所
⑬「運搬受託者」運搬を委託する収集運搬業者の名称など
⑭「運搬先の事業場」契約している処分業者の事業場
⑮「処分受託者」契約している処分業者の名称など
⑯「積替え又は保管」積替保管を行う場合のみ記入

 

建設系廃棄物マニフェスト|書き方

 

建設系マニフェストも、事業系マニフェストと同様に7枚綴りです。

基本的な内容は事業系マニフェストと共通していますが、建設系産業廃棄物は、種類によって処理方法が多岐に渡るため、運搬業者が複数にまたがるケースも多くあります。

そのため、廃棄物の項目ごとに、複数の運搬業者を記載することができるように設計されています。

 

積替保管用廃棄物マニフェスト|書き方

 

積替保管用マニフェストは、積替保管用に「運搬受託者」「運搬先の事業場」を記載する欄があります。こちらを正確に記入するようにしましょう。

 

また、積替保管用は他の2種類のマニフェストと異なり、「B2」「B4」「B6」の3枚のB票が返送されます。産業廃棄物の処理が終了したら、この3枚を確認し、日付の記入を漏れずに行ってください。

 

 

マニフェストの違反による罰則

 

 

産業廃棄物マニフェストは、「廃棄物処理法」という法律の中に、運用方法・罰則規定などが定められています。万一、行政のチェックで違反が発覚した場合、行政処分等の罰則が課せられることがあります。

 

さらには、故意など悪質と見なされた場合、刑事事件になる可能性もあります。

たとえ故意ではないにしても、法令違反となれば罰則は免れませんので、法律やルールをしっかり理解することが必要です。

 

では、具体的にはどのような点に注意したら良いのでしょうか。

ポイントを2つお伝えします。

 

法定記載義務事項は漏れなく記載する

 

特に記載漏れで問題となる可能性が高いのは、「法定記載義務事項」です。

日付、排出事業者、運搬・処理業者の情報、産業廃棄物の情報は、「法定記載義務事項」であり、排出事業者が必ず漏れなく記載しなければならない項目です。

この記載義務事項に漏れや虚偽記載があった場合、措置命令・罰則の対象となり、1年以下の以下の懲役または100万円以下の罰金が課せられる可能性があります。

マニフェスト発行時には、記載義務事項に記載漏れがないか必ず確認するようにしてください。

 

マニフェストは保存期間中かならず管理・保管しておく

 

マニフェスト排出事業者はA票、B2票、D票、E票を、収集運搬事業者はB1票、C2票を、 処理事業者はC1票を5年間保存する義務があります。

保存義務に違反すると、1年以下の以下の懲役または100万円以下の罰金が課せられる可能性があります。

この保存期間の5年間は、マニフェストを必ず管理できる場所へ保管しておいてください。

5年間という長期間保管しなければなりませんので、月ごとにバインダーなどにまとめて、後から探しやすい方法で保管するのがおすすめです。

 

 

産業廃棄物(産廃)マニフェストの書き方・ポイント・注意点を専門家がわかりやすく解説|まとめ

 

 

産業廃棄物マニフェストは、産業廃棄物が正しく処理されていることの証明になります。

近年では『SDG’s』など世界的に環境保存への意識が高まりつつあります。

特に産業廃棄物の処理については、これまで以上に厳格に管理することが求められています。マニフェストの安易な記載漏れや記載誤りは処罰の対象であることを強く認識し、排出業者は責任をもってマニフェストの記載・発行を行うようにしましょう。

 

株式会社イーアンドエムは、札幌市を拠点として、古紙回収や産業廃棄物処理を通じて地球資源の循環型社会を目指す企業です。

札幌市の産業廃棄物に関するご相談をお受けしており、産業廃棄物の収集・運搬、中間処理、リサイクル、再資源化や、空き瓶・空き缶・ペットボトル、段ボール、シュレッダーのリサイクル・再資源化を行っています。

産業廃棄物マニフェストの発行に関するご相談もお受けできますので、産業廃棄物マニフェストでお悩みの方はお気軽にお問い合わせください。

 

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