2021.11.27

食品ロスの問題点・食品リサイクル法について解説

食品ロスの問題点・食品リサイクル法について専門家が解説

 

 

食品ロスという言葉を耳にしたことはありますか?

 

世界では食の格差は根強く存在します。貧しい地域では、多くの人が飢餓に苦しんでいる一方、先進国では余ってしまった食品がどんどん廃棄されているという問題があります。

 

食品ロスに対する理解を深め、企業として出来る対策を行えば、問題の解決へ一歩前進することになります。

今回の記事では食品ロスの現状と問題点、考えられる対策について廃棄物の専門家がわかりやすく解説します。

 

 

食品ロスが問題となる理由とは?

 

食品ロスの問題解決はSDGsの共通目標

SDGs

 

 

食品ロスとは、「食べることができるのに廃棄されてしまう食品」のことです。

持続可能な開発目標『SDGs』の目標のひとつに『12 つくる責任 つかう責任』があります。

この目標には11項目の具体的なターゲットが設定されていますが、その3番目として

 

「12.3 2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食料の廃棄を半減させ、収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食料の損失を減少させる。」

 

というターゲットが存在します。

食品ロスを解決することは世界共通の目標として掲げられているのです。

 

 

食品ロスがもたらす環境問題

 

産業廃棄物の流れ

 

食品ロスに伴う食品の廃棄は、それ自体が環境汚染に繋がります。

まず、食品を焼却する際に排出されるCO2が温室効果を助長し、地球温暖化の原因となります。

食品廃棄のために発生する温室効果ガスは、世界の温室効果ガスの8%を占めると言われており、問題視されているのです。

さらには、その食品を生産・輸送するために使用されたエネルギーも結果として無駄になってしまいます。例えば、食品生産時に使用される飼料や水、輸送に使われたガソリン、もっと言えば人件費等のコストまで、ありとあらゆるエネルギーを無駄に使用していることになります。

このように食品ロスは、直接的・間接的に環境問題に繋がる要因となります。

 

 

食品ロスの現状

 

日本の食品廃棄物は年間2,531万トン、その中でいわゆる「食品ロス」(本来食べられるのに捨てられる食品)は年間600万トンです。

これは、国民一人当たりに換算すると年間47kg、1日あたり130gを「食品ロス」として廃棄していることになります。

これは、国民一人ひとりが、毎日お茶碗1杯分のご飯を捨てているのと同じことになるのです。

 

食品ロス農林水産省データ

 

食品ロスは、「事業系」「家庭系」の2つに分類することができます。

 

食品ロスの種類

  •  『事業系食品ロス』:事業活動に伴う食品ロス
  •  『家庭系食品ロス』:一般家庭から発生する食品ロス

 

600万トンのうち、事業系食品ロスは324万トン、家庭系食品ロスは276万トンです。

 

事業系・家庭系それぞれが約半数を占めています。したがって、各事業所の取り組みと、各家庭での取り組みの両方が必要不可欠であることがわかります。

食品ロスの発生原因を詳しく見ていくと、事業系では、規格外品、返品、売れ残り、食べ残しなどが多く、家庭系では食べ残し、手つかずの食品(直接廃棄)、皮の剥きすぎなど(過剰除去)が多いことがわかります。

 

食品ロス農林水産省データ

 

 

事業者ができる食品ロス削減の取り組み

 

事業者が食品ロスを減らすためにできることはなんでしょうか。

環境省からは、あらゆる業種で発生する事業系食品ロスを減らす対策の例が示されています。

 

事業者ができる取り組み

  •   業種問わず:返品・過剰在庫の削減、需要予測精度向上、フードバンクの活用
  •   食品製造業:過剰生産防止・年月表示・賞味期限延長
  •   食品卸売業・小売業:配送時の汚れや破損の削減・小容量販売やバラ売り・売り切り
  •   外食産業:調理ロス削減・食べきり運動の周知活動・提供サイズの見直し・自己責任による持ち帰りの協力

事業者がそれぞれでできることを考え、食品ロス削減に向けた取り組みをスタートすることが大切です。

 

 

札幌市の食品ロス対策

 

 

イーアンドエムの活動地域である札幌市では、食品ロス対策としてさまざまな取り組みを行なっています。

その一例をご紹介します。

 

ごみ減量キャンペーン

 

札幌市では、平成24年度から、集中的なごみ減量の普及啓発を行うごみ減量キャンペーンを実施しています。

 

令和3年度は、「お買い物でエコササイズ」と「脱プラでエコササイズ」をテーマに、「食品ロスの削減」と「使い捨てプラスチック製品の削減」を啓発するキャンペーンを実施しています。

 

食品ロス削減講座

 

さっぽろスリムネット(ごみ減量実践活動ネットワーク)では、本来食べられるはずなのに、捨てられてしまっている「手つかず品」や「食べ残し」等、いわゆる「食品ロス」を減らすため、「食品ロス削減月間」である毎年10月に食品ロス削減講座を開催しています。

事業者と食べ手をつなぐマッチングや、企業の取り組みの紹介など、食品ロス削減に繋がる講座を毎年開催し、情報提供を行っています。

※令和3年度は終了しました。

※さっぽろスリムネットは、市民・事業者・行政が一体となり、ごみ減量活動を推進していくための枠組みです。

 

食品ロス削減国民運動への協力

 

農林水産省、消費者庁など、関連6府省庁が連携し、食品ロス削減国民運動 (NO-FOODLOSS PROJECT)を展開しています。札幌市はこの取り組み内容に則り、フードバンク支援や、各種イベントの開催・支援などを行っています。

 

食品リサイクル法とは?

 

 

食品リサイクル法とは

 

食品リサイクル法という法律があります。

 

食品リサイクル法(「食品循環資源の再生利用等の促進に関する法」の略称)は、事業者から発生する食品の売れ残りや食べ残し、食品の製造過程から出る食品廃棄物の発生を抑制し、資源としてリサイクルしていくために作られました。

平成12年(2000年)に制定、平成19年(2007年)に改正された法律です。

 

対象事業者は、食品リサイクル法に基づき、食品のリサイクルが義務付けられているということを押さえておきましょう。

 

対象事業者

 

食品リサイクル法で対象となる食品関連事業者は以下の通りです。

対象事業者

  •   食品製造業・加工業(食品メーカーなど)
  •   食品卸売業・小売業(各種食品卸、スーパー、コンビニエンスストア、八百屋、魚屋。百貨店等の小売業など
  •   飲食店業その他食事の提供を行う事業者(レストラン、ホテル、旅館、食堂、結婚式場など)

 

 

食品ロスの問題点・食品リサイクル法について|まとめ

 

食品に関わる事業者として、食品ロスと食品リサイクル法について理解し、食品ロス削減に取り組むことは、未来の日本、そして世界にとって必要なことです。

『SDGs』ターゲットである食品ロス削減に向けて、貴社事業のなかでできることはないか、確認してみましょう。

 

株式会社イーアンドエムは、札幌市を拠点として、古紙回収や産業廃棄物処理を通じて地球資源の循環型社会を目指す企業です。

札幌市の産業廃棄物に関するご相談をお受けしており、産業廃棄物の収集・運搬、中間処理、リサイクル、再資源化や、空き瓶・空き缶・ペットボトル、段ボール、シュレッダーのリサイクル・再資源化を行っています。食品ロス問題、食品リサイクルでお悩みの方はお気軽にお問い合わせください。

 

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